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映画『オレンジと太陽』 イギリス裏面史 『児童移民」があった!

Category : 映画/音楽/芸能など
昨日,どうしても見ておきたいと思ってわざわざそのためだけに出かけていた映画とは、

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もう明日で京都では終わってしまう京都シネマで上映されている『オレンジと太陽』である。
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これからも見るであろう映画の10数本のうち,今年の最高の作品となると確信する。
おいそれと感想が書けないほど。
ケン ローチ監督の息子さんの初監督作品!

こんなことがあっていいのか!衝撃で震えがきた!
女王在位60周年で湧くイギリスの裏面史!

ひとりの女性の勇気が社会を動かした!
しかし、この映画は、決して告発型ではない。


よくコメントしてくれる二女さん(年齢が5つずつ離れている関西で活躍する4人を称して「ばかくさ姉妹」の二女)があるところにこの映画に関して文章を載せている。

わたしが書くよりも的確にこの映画の真髄を語っているので、お願いしてここに転載させていただくことにした。
二女さん、ありがとう!

皆さんも,出来れば長いけど、最後までおつきあいしていただければとてもうれしいです。




映画館を出たときの清々しさ。勇気がわく。
1個人としてできる最良の生き方の、1つの見本を見せてもらったような気分だ。

『オレンジと太陽』は、350年の長きにわたって実際に行われてきた「大英帝国の国家犯罪」を巡る映画である。

英国は、1618年から1970年までの間、諸般の事情で孤児院に預けられた子どもたちを、親の同意なしに(ときには親は死んだと子どもに嘘をついて)、カナダ、ローデシア(南アフリカ大陸にあった)、オーストラリアなどの「植民地」に「児童移民」として送り出した。下はまだおむつの取れていない3歳児から、上は15歳まで。総数は13万人に上るという。

     *     *     *

移民先で待っていたのは強制労働と性的虐待である。農場労働(男女)、家事労働(女子)が主だったようだが、修道院で生活した少年たちは、教会建設の肉体労働に従事させられ、カトリックの神父に鞭打たれ、柱に縛り付けられた格好で輪姦されたという。地位の高い神父の「お気に入り」になった少年は、夜な夜な襲いにくる神父の行為にひたすら耐え続けたが、いざ教会を出ようとすると、それまでにかかった養育費=「借金」を返せと言われ、働きながらお金を払い続けた……etc.

男子がこうなのだから、女子も推して知るべし、であろう。
     *     *     *

物語は、ソーシャルワーカーをしている主人公の女性が、見知らぬ女性に「自分が誰なのか知りたい、母親を捜してほしい」と声をかけられたところから始まる。最初ヒロインは、「子どもだけを船に乗せてオーストラリアまで移民させるはずがない」と、女性の訴えを信用しなかったが、やがて、それが英国政府と民間団体(含宗教団体)によって組織的に実施されていた事実をつかみ、彼女/彼らの親を探す活動を始める。1986年のことである。

ヒロインの活動がオーストラリアの新聞で紹介されると、児童移民から大量の手紙が届く。すべて、「自分は誰なのか、本当の名前と誕生日を知りたい。母親を探してほしい」という依頼だった。

     *     *     *

ヒロインの名はマーガレット・ハンフリーズ。彼女は現在も、イギリスとオーストラリアの両国で、児童移民を支援する活動を行っている。

  児童移民トラスト


     *     *     *

活動は順調には進まなかった。マスメディアに取り上げられ、社会的に注目されれば、反発も大きくなる。政府官僚には嫌味たっぷりに「過去をほじくり返すな」と釘を刺され、保守的なカトリック信者には「嘘をつくな。児童移民は善意で行われてきたのだ」と非難される。オーストラリアのオフィス(彼女の住まいを兼ねる)が、深夜、暴力的なカトリック信者たちに襲われたこともあった。それがきっかけで、彼女は精神的に不安定になり、イギリスで受診したドクターに、PTSDだと診断される。

     *     *     *

困難な状況を支え、乗り越える力を与えてくれたのは、彼女がオーストラリアに滞在している間は2人の子どもの世話をしつつ、調査その他で積極的にサポートし続けてくれた夫であり、彼女の活動のおかげで再会し、新しい関係を築き始めた母娘の、笑顔あふれる感謝の言葉だった。

なお、英豪両政府は、この映画が制作されていたまさにその時期(オーストラリア首相は2009年、イギリス首相は2010年)に、「児童移民」に対して公式に謝罪している。

     *     *     *

かくも激しい実話を、抑制をきかせて美しく描ききったのは、ジム・ローチ監督。敬愛するケン・ローチ監督の息子である。

私には、ジムの感性は、父上のそれよりピタッとくるような気がする。嬉しい才能の継承である。

映画のタイトルは、移民児童の1人のセリフから取られている。
 「英国の孤児院にいたとき、スーツを着た男が来て言った。
  『豪州はいいところだぞ。
   毎日太陽が輝いて、君は白い家に住み、馬に乗って学校に行き、
   毎朝、オレンジをもいで食べる』
  僕が黙っているとその男は、『ママは死んだんだ、諦めろ』と」

                      二女
 

オレンジと太陽  公式webサイト                       





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Comment

いつの時代も・・

何十年もたたないと、こういうことが明らかにならない・・では今の我々が知らないで見過ごし、やり過ごしている(たとえばフクシマ)いやおかしいとさえ気づかないことがいっぱいあるんだろうな・・

私が帰国便で見た映画「ヘルプ ~心がつなぐストーリー」~もそうでした。
©DreamWorks II Distribution Co., LLC. All Rights Reserved.

>あすなろさま

確かに、隠されていることがいっぱいありそうなフクシマ、
だのに,再開されるオオイ原発。

誰が責任とれる~??ですね。
安全安心神話はもう通用しません。

はじめまして!
着物がすきなので、そこからここへたどり着きました。
そして、“オレンジと太陽”見てみようと思います。
私たちの価値観も、考え直す所に来ているように最近感じます。。。

はじめまして!白いねこさま


ようこそここへ!

オレンジと太陽、ぜひ見て欲しいです。
見た映画の中でもいつまでも忘れないと思える映画でした。

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ake

Author:ake
きものHP   2001年~2005年
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2008年7月~
「京都で、着物暮らしpart2」

職業 文筆業 ジャーナリスト

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