2018/04/02 (Mon) KIMURAの読書ノート [偏差値好きな教育“後進国”ニッポン]

『偏差値好きな教育“後進国”ニッポン』池上彰 増田ユリヤ 著 ポプラ社 2017年

 現在日本は「森友学園問題」(読書ノートを書いている3月24日現在「安倍事案」・「昭恵案件」という言葉すら浮上)で大荒れであるが、それで満足しないのか、「前川授業文科省介入問題」まで勃発(前川前文科事務次官の公立中学校での講義に関して、某国会議員が文科省を通して質問状を送った件)。そんな最中、手にしたのが池上彰氏と増田ユリヤ氏の対談で構成されている本書。序章で2人がフィンランド教育について話しているが、フィンランド教育の利点は、内容以前に政治の教育への影響を排除するための仕組みにあるということ語り合っているのである。そして、池上氏はこのようにも指摘していた。
 


「日本ではそういう教育(何もないところから考える力をつけるフィンランド教育 ※木村補足)の軸が政治家のせいでぶれる傾向が強いですね。教育を語ると聞こえはいいし、政治家が選挙のときに教育に一所懸命力を入れていますというと、なんとなくイメージがよくて票が集まるみたいなことになる。 ~中略~ その結果、文教族と呼ばれる政治家が生まれて、それなりの一定数になる。さらに文部科学省の役人たちは移動が多いですから、文教族の方が教育行政に関する知識や経緯について詳しくなっていく。すると法案なども文教族の許可なしには文科省の役人も進められなくなってくるのです」(p18,19)


 いや、びっくり。本書も「kimuraの読書ノート」ではありがちな、「予言の書」ではないか。今回の件(前川授業文科省介入問題)、まさに起こるべくして起こった事件であることに納得してしまった。と同時に、フィンランド教育はその内容に関してクローズアップされ、各国から視察に訪れているが、その内容を守られる仕組みがあってこその「フィンランド教育」という観点がこれまで語られることは少なかったのではないだろうか。


 本書はフィンランド教育だけではない。フランスにおける「いじめ問題」に関する対策について増田ユリヤ氏が取材し、報告している。そもそも、「いじめ問題」という言葉だけを耳にすると、私自身は「日本独特の陰湿な因習」というイメージを持っていた。しかし、フランスの子ども達の間にも「いじめ」はあり、そしてそのことにより被害者が「自殺」という最悪の結末をむかえてしまうこともあるようである。ではどのようにフランスの学校ではこの「いじめ問題」について取り組んでいるのか。子ども達に「考えさせる」という点では日本と同じであるが、そのアプローチ方法が全く逆の発想であることがこの取材を通して分かる。また、学校だけではなく、地域を巻き込んで「いじめ対策」は行われていくが、それは日本とは桁違いの巻き込み方である。それでも、フランスでは「いじめ」は完全にはなくならない。ともすれば、まだまだ小手先だけの日本ではもっと「いじめ」はなくならないのは、当然なのかもしれない。


 
フィンランド教育に話は戻る。フィンランドは世界でも有数の原子力発電を取り入れている国である。そして、それを国民が受け入れている。それはなぜなのか。そのリスクはどのように背負っているのか。子ども達にどのように伝えているのか。この辺りを綿密に取材を重ね、池上氏の至った結論が「信頼」であった。



 フランスにしても、フィンランドにしても、行きつくところ「教育」に関するキーワードは「国の関わり」であり、それが「信頼」に基づいているとすれば、今の日本は方法論を論議している場合ではないだろう。ますます国会から目が離せない。

文責 木村綾子

 

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2018/02/21 (Wed) 読書ノートを更新しました。

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2018/02/02 (Fri) 読書ノートを更新しました。

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📃作者はあとがきにこのように言葉を添えている。「精神疾患の暗くて予測不能な海を航海する人の気持ちがどういうものなのか、この本を読んで理解してほしいのです——本文より引用
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2018/01/20 (Sat) 読書ノートを更新しました。

興味深いタイトルの本です。
📃本文より引用
この地球上で話されている少数言語を集めた単語帳である。見開き1ページが一言語。詩のようなフレーズは言語学者がその言語らしい単語をピックアップして説明したもの。もちろん、イラストもその単語に見合った特色で描かれている。
こちら💁なくなりそうな世界のことば

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